どのように飲食の健康を維持します
1.食事を楽しみましょう
〔食生活指針の実践のために〕
○心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう。
○毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
○家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
○心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう。
私たちの食生活は「飽食」とも称されるほど豊かになった反面、最近ではともすれば食事を軽視しがちな傾向もあります。食べる行為で、運動、休養、睡眠とならんで、健康を維持、増進するための重要な要素です。
○毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
また、食事を楽しく食べることは栄養素の消化や吸収にも良いばかりか、心をなごやかにすることを通じて生活の質を向上させるためにも大切なことです。
我が国は世界一の長寿国となりましたが、人生は単なる寿命の長さではなく、その質が問われる時代です。WHOの世界各国の健康寿命を公表していますが、日本では男性72.3歳、女性は77.7歳と不健康期間が、男性6.1歳、女性7.5歳で、スイスよりも日本の方が平均寿命も健康寿命も高くなっています。元気で長生きするこ
とが国民医療費の軽減につながります。
*健康寿命とは、日常生活に介護等を必要とせず、心身ともに自立した活動的な状態で生活できる期間をいいます。
○家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
近頃は家族それぞれの生活時間のずれ、単身世帯の増加などの家族のあり方が変化し、家族揃っての食事は困難になっています。しかし、食卓を囲んでの食事は、家族の団らんをはじめとして人とのふれあいやコミュニケーションを図る場として重要な役割を持っています。また、買い物、調理や後かたづけなどを一緒に行うことは、より一層家族のきずなや人とのふれあいを深め、親から子や孫に伝えられてきている食材の保存方法や調理などの食生活の知恵や家庭の味を伝える場でもあり、このような食卓の持つ多様な機能を大切にすべきではないでしょうか。
食べ物は舌だけで味わうものではありません。目や心など、あらゆる器官を使って食べる物です。無理にしっかり食べさせるより、少しでも嫌いな食品に親しめるよう一緒に料理をしたり、栽培体験をするというのも苦手なものを克服することにつながることがあります。
また、子どもの頃に嫌いであった食べ物でも、親がおいしそうに食べてみせるだけで、大きくなってから食べられるようになるとい
うことがあります。楽しく食べることを基本に、子どもたちに食べ物に興味をもたせる工夫をしてみたいものです。
●食育は家庭の食事から
これまで、食育は家庭で行われてきましたが、近年では、ライフスタイルの変化によって時間に追われる私たちにとって、すべて家庭で食育をすすめることは難しくなり、子どもだけで食事をするいわゆる「孤食」の増加などの問題が見受けられます。食事を通して、家族や仲間などの人とのコミュニケーションを図ること、また食事づくりに参加して、食生活に関する知識や技術を身につけながら、おいしい食事を整えて食べることなどにより、食事の楽しみはいっそう深まります。毎日とは言わないでも、週に1回だけでもそうした機会を作ることが大切です。2.1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
〔食生活指針の実践のために〕
○朝食で、いきいきした1日を始めましょう。
○夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
○飲酒はほどほどにしましょう。
○朝食で、いきいきした1日を始めましょう。
残業、深夜勤務、受験などによって夜型の生活をおくる人が増え、
これを背景に、朝食を食べない人が増加しています。朝食を欠食する人は食事の時間が不規則で、食事の内容も偏りがちとの調査結果もあります。
健康的な生活をおくるためにも、1日3度の食事を規則正しくとることが重要で、この鍵となっているのは朝食です。また、規則正しい食事のリズムが、好ましい生活習慣を形成し、健康にもつながってきます。
·●朝食をとることが大切な理由
1.体温の上昇効果
朝食を食べると、すぐに体温が上がり始め、午前中から体温が上がった状態が続きます。ところが、朝食を食べないと、家を出るまで低いままです。通勤や通学でからだを動かすと、少し上がりますが、午前中は体温だけでなく、脳の温度も下がったままなので、眠くなって、あくびが出たりします。朝食を食べると身体の中で熱がつくられて体調も上がります。
脳にエネルギーを補給
人間の脳は、順調に働くためのエネルギーが必要です。そのエネルギー源となるのが、肝臓に蓄えられたブドウ糖です。ところが、肝臓には約12時間分しか蓄えがないとされています。朝の食事でグルコースを補給す
1.ることは重要です。夕食を午後8時に食べて、翌日朝食を食べないと、昼まで16時間もあるので脳までエネルギーが回らず、栄養不足になってしまいます。その結果イライラしたり、集中力がなくなったりすることも考えられます。
■朝食週間有無別の夕食状況
○夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
活動の活発な子どもの時期はおやつによってエネルギーを補給することも大切ですが、夜食や間食はほどほどにすることが大切です。
○飲酒はほどほどにしましょう。
お酒は百薬の長とも言われていますが、飲み過ぎることは健康にも良くありませんし、エネルギーの過剰摂取にもつながり、肥満を招くおそれもあります。3.主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。〔食生活指針の実践のために〕
○多様な食品を組み合わせましょう。
○調理方法が偏らないようにしましょう。
○手作りと外食や加工食品?調理食品を上手に組み合わせましょう。
○多様な食品を組み合わせましょう。
食事のバランスを保つためには、様々な食品を組み合わせて食べることが基本です。主食のごはんなどの穀類に副食の中心となる主菜と付け合わせとなる副菜を揃えて食べることは日本の食事様式の一つの特徴です。
この主食、主菜、副菜を基本とした食事は、様々な食品をとりやすくし、適正な栄養素摂取量を確保しやすくします。また、食事のバラエティーを富ませることにもつながります。
また、食品の選択や食事づくりの際に、食品を組み合わせる具体的な方法として、「6つの基礎食品」(同じような栄養素を含んでいる食品を1つの群にまとめて、日常使用する食品を6つの群に分けたもの)を活用することもできます。さらに、摂取食品数が少なすぎれば必要な栄養素量を確保できないので、「多様な食品の組み合わせ」の具体的な目安として、「1日30食品を目標に」といったようなわかりやすい行動目標を掲げて、食品数を増やす工夫をすることも一つの取組みです。
さらに、最近では、外食の機会や加工食品?調理食品を利用する機会が増加していますが、主食、主菜、副菜を基本に、多様な食品の組み合わせを考えるとともに、手作りとの上手な組み合わせを
工夫することも、食事のバランスを実現することに役立ちます。
·●栄養バランスの上手なとり方
バランスの良い食事をとることが健康につながると言われています。簡単にバランスのとれた食生活を送るためには、1.好き嫌いなく食べる。2.種類を多く食べる。3.過不足なく食べる。以上の3点を守って、あまり神経質にならずに、一度にいろいろな食品を組み合わせて食べれば、必要な栄養素がまんべんなくとれ、栄養の偏りを防げます。
○調理方法が偏らないようにしましょう。
調理方法も大切です。食事の楽しさを増すためにも、またエネルギーや脂肪、食塩の過剰摂取を避けるためにも、調理方法が偏らないようにしましょう。炒め物や揚げ物などは油を多く使いますし、煮物や汁物などは塩分が多くなりがちです。
○手作りと外食や加工食品?調理食品を上手に組み合わせましょう。
最近は、外食や加工食品?調理食品を使うことが多くなってきています。これらは、独身の方や家庭にとっても時間のない時などには便利なものですが、手作りと上手く組み合わせていくことが、食事のバランスを保つ観点からも大切です。4.ごはんなどの穀類をしっかりと。
〔食生活指針の実践のために〕
○穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
○日本の気候?風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
○穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
摂取エネルギーに占めるたんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)の構成比(PFCバランス)は栄養素摂取のバランスをみる一つの指標です。
近年、ごはんの消費量が減る一方で、畜産物や油脂類の消費量が増加した結果、脂質エネルギー比率が増加傾向にあります。
脂質の過剰摂取は、生活習慣病予防の観点からも注意を払うべき大きな課題で、脂質の過剰摂取を防ぐためにも、主食としての穀類を毎食適量摂取することが大切です。
·●エネルギー源としての炭水化物の働き
脳の働きを活発にする。脳がきちんと働くためのエネルギー源は「ブドウ糖」だけなのです。そして、体のなかでブドウ糖に変わるのが炭水化物です。脂肪は脳のエネルギー源としては使えませんので、しっかり、穀類でとる必要があります。
·●お米に含まれているでんぷんは、糖質の中でもゆっくりと分解されます。
糖質の種類には、単糖類であるブドウ糖、二糖類である砂糖、多糖類であるでんぷんがありますが、お米にはブドウ糖に分解するのに時間がかかるでんぷんが多く、しかも、ごはんは粒で食べるため、そしゃくが必要でそのため、消化?吸収が穏やかになります。このため、余分なエネルギーを体脂肪に変えて蓄える作用があるインスリンの分泌をあまり刺激しません。こうしたことから、ごはんは太りにくく、肥満や糖尿病の予防にも有効といわれています。
○日本の気候?風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
ごはんなどの穀類を毎食食べることは、健康?栄養面からみても、また、米は穀類の中でも日本の気候?風土に適しており、自給可能な作物ですから、日本の国土から生産されるお米を食べることは食料の自給率を高める面からみても重要です。5.野菜?果物、牛乳?乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。〔食生活指針の実践のために〕
○たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
○牛乳?乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十余分なコレステロールを排出します。食物繊維は野菜、豆類、果物、海藻類などに豊富に含まれています。6.食塩や脂肪は控えめに。
○栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。
最近では栄養成分表示のある食品やカロリーなどを表示している外食店が多くなっています。食塩や脂肪をとりすぎないためにも、これらの栄養成分表示をよくみる習慣を身につけたいものです。7.適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を8.食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。9.調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
〔食生活指針の実践のために〕
○太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
○普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
○美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
○しっかりかんで、ゆっくり食べましょう。
○太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症など生活習慣病の発症に大きく関わっています。肥満の判定には、BMI(BodyMassIndex)という体格指数が用いられ、「(体重(kg)÷(身長(m))2)」で求められます。成人男女ではBMI=22を標準とし、18.5未満を「やせ」、25以上を「肥満」と判定しています。
「肥満」に判定される人(BMI=25)は男性で増加が著しく、平成15年国民栄養調査結果によれば、30~60歳代で30~34%を占め、女性では40~60歳代で20~30%を占めます。また、小学生高学年
においても肥満傾向児の割合が増加しています。
適正体重を維持することは生活習慣病の予防にとって重要であり、体重をこまめに量り体重の変化に早めに気づくことが適正体重の維持を図る上で大切です。
○普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
日々の活動の消費エネルギーを超えるエネルギーを摂取することが肥満の原因になりますから、活動量に見合った食事をとることが適正体重を維持するための基本となります。しかし、身体を動かすことが少なくなった現代では、体力の維持や健康増進の点からも積極的に身体を動かすことが大切です。
○美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
最近は、女性にやせ過ぎが増えてきていますが、無理なダイエットは健康によくありません。女性には現実の体型よりも、自分で太めに評価する傾向があり、実際の体型が普通であっても太っていると評価している人が半数以上になっています。もう一度、自分の適正な体重を知ることが大切です。
●女性の肥満は皮下脂肪型で健康障害はありません。
肥満には皮下脂肪型と内蔵型肥満とがあります。皮下脂肪型を女性型肥満といって、内臓脂肪型を男性型肥満といっていますが、それぞれ脂肪細胞の働きが異なり、内蔵にたまる脂肪細胞からは、健康障害を起こすような活性物質がたくさ
·ん出ることがわかり、皮下脂肪のたまっている細胞からはあまり活性物質が出ないことが分かりました。ですから、女性の特に若い女性は太るからといって、朝食を抜いたり、ごはんの量を減らしたりしないようにしましょう。
(資料:平成16年度第1回食を考える国民フォーラム、村田光範教授基調講演より抜粋)
○しっかりかんで、ゆっくり食べましょう。
食べた物の消化吸収をよくするためにも、しっかりと噛むことは大切です。よく噛むことで、食べ物が細かくなり、消化しやすくなって胃や腸にやさしいのです。かむことによって唾液が良く出ます。唾液は消化酵素をたくさん含んでいるため、食べ物を柔らかくします。しっかり噛むことによって食欲を自然にコントロールされ、食べ過ぎを防ぎます。